青空カフェcafe

ニューイヤーコンサート

 こんにちは、弁護士の橋本です。

 今年の年末年始は年末に帰省して正月は自宅で過ごしました。私の正月の恒例行事の一つに、テレビでウィーンフィルのニューイヤーコンサートを観ることがあります。

 今年は、ヨハン・シュトラウス生誕200年のメモリアルイヤーということで、曲の大半がヨハン・シュトラウスでした。毎年観ていますので、この時代、ヨハン・シュトラウスと父、兄弟以外にも多くの作曲家が活躍したことは知っていたのですが、やはり、ワルツ王と言われたヨハンの作品が中心だと、クラシック初心者には嬉しいものがあります。

 今年の指揮は、イタリアの巨匠、リッカルド・ムーティ、2021年に続いて7回目の登場です。年齢を全く感じさせない風格、力強さでした。ムーティとウィーンフィルとは50年以上の共演関係だそうで、若いころはウィーンフィルに教わり育てられ、そのうちに誰よりもウィーンフィルを理解して今の団員にその神髄を伝えているという話や、紛争地、被災地での音楽活動を通じて苦しむ人々を励まし続けている話に感動しました。改めて感じたニューイヤーコンサートの魅力について述べてみたいと思います。

 ニューイヤーコンサートでは、短い曲をたくさん演奏します。次々と演奏されるので(今聞いた曲もすぐに忘れてしまい)1曲ずつ感想を述べるのは難しいですが、その分、気軽に聞けて楽しいです。ワルツと軽快なリズムのポルカが交互に演奏されるので盛り上がります。

 ウィーン楽友協会大ホールはいつ見ても壮観です。かつてのハプスブルク帝国の栄光を伝える黄金に輝く豪華絢爛なホールです。実物はもっと凄いのでしょう。かつてはヨーロッパの貴族しか楽しめなかった文化・芸術が、時代が変わって、今や世界中の人々がテレビで楽しめるようになったのは素晴らしいことだと思います。

 コンサート終盤の指揮者による新年の挨拶も見所の一つです。3年前はコロナ禍の中での無観客開催でした。今年、ムーティは、イタリア語で、「平和、絆、愛」を訴えていました。今も世界各地で戦火や貧困に苦しんでいる人たちが大勢います。ニューイヤーコンサートは、素晴らしい演奏を通じて、今辛い立場にある人たちに思いを馳せ、平和を願う場でもあります。

 最後に必ず演奏される「美しく青きドナウ」は、元々は戦争で傷ついたウィーンの人たちを励ますためにヨハン・シュトラウスが合唱曲として作曲した曲で、今ではオーストリアの第2の国歌となっています。「ウィーンっ子よ、元気を出せ」という歌詞だったそうです。この曲は毎年の演奏で終演も近いということで、楽団員の人たちはすっかりリラックスして笑顔で演奏していました。演奏後に司会の林田理沙さんが熱く語り、その感動がこちらにも伝わってきました。今年の「美しく青きドナウ」も、郷愁、平穏、優美、豊かさ、励ましなどが込められた、心に響く演奏でした。今年は世界中の人々にとって平和で穏やかな年になって欲しいと願っています。