こんにちは、弁護士の橋本です。
先週、十和田の桜が開花しました。平年より1週間以上早い開花だそうです。私が十和田に来たのが平成22年4月ですので、今年で12回目の桜の季節を迎えました。
私は、十和田に来るまで、桜の開花は、一分咲き、三分咲き、五分咲き、七分咲きと徐々に進み、しばらくして満開になるものと思っていました。ところが、十和田では、気温が低く咲く時期が遅いのは当然ですが、開花したと思ったらすぐに満開となるので、毎年不思議に思っていました。気になって調べてみたところ、日本気象協会のページに、「開花から満開までの日数は北に行くほど短くなる傾向にある」「東北地方では5日間程度のところが多い」と書かれていて納得しました。
十和田市中心部は、日本の道100選にも選ばれた官庁街通りの両側約1キロにわたって桜が咲いています。現代美術館を中心に街に数ある芸術作品が桜を引き立たせています。青空と大地は官庁街通りに面してありますので、事務所の窓から贅沢な景色を楽しんでいます。隣接する中央公園の野球場、広場、陸上競技場、三本木中学校の校庭、十和田市体育館前にも沢山の桜の木があります。廃線となった旧十和田観光電鉄の線路沿い、十和田市駅から北里大学前まで続く桜も壮観です。
うろ覚えですが、日本人にとって桜がいかに特別な花であるかというエピソードを聞いたことがあります。ある日本人が、外国人(確かカナダ人)に桜の話をしていて、この時期の日本人の心情について、桜のつぼみが色づき膨らみ始めると、いつ咲くだろうかと心待ちにし、満開になるといつまで咲いているだろうか、いつ散ってしまうだろうかと気もそぞろになる、と説明したそうです。これを聞いた外国人は、最初、冗談だと思っていたようですが、これが日本人の普通の心情だと真面目にいうと、なぜ桜の花が咲いたり散ったりするだけでそんな気持ちになるのかと大笑いしたそうです。私は日本人ですので、外国人はそういう気持ちにならないのかと思いつつ、官庁街通りを歩きながら、今年の桜はいつまで咲いているだろうか、雨や風で散ってしまわないかと落ち着かない日々を過ごしています。
日本人にとって花といえば桜、百人一首でも多く詠まれています。
花の色は移りにけりないたづらに わが身世にふるながめせしまに
ひさかたの光のどけき春の日に しづ心なく花の散るらむ
花さそふ嵐の庭の雪ならで ふりゆくものは我が身なりけり
桜をテーマにした歌は数多く、森山直太朗さんの「さくら」、福山雅治さんの「桜坂」、いきものがかりの「SAKURA」、コブクロの「桜」など名曲揃いで、私も大好きです。
満開の桜の美しさもさることながら、桜が長い冬の終わりと春の到来を告げる花であり、別れと門出の季節に咲く花であり、華々しく咲いて儚く散るその潔さが、日本人の季節感や無常観、情緒、美学とも重なるのでしょう。
十和田の桜は今、満開です。