法律コラムcolumn

法律コラム19 「借地借家・賃料増額」

私は、長年、一軒家を賃貸しています。今まで、家賃を値上げしたことは一度もありませんでした。近隣の借家と比べてかなり低いようなので、家賃を値上げしたいと考えています。

家賃の金額が、その後の事情の変化により不相当となったとき、当事者は、相当な額への増減を請求することができます(借地借家法32条1項)。

その後の事情の変化とは、具体的にどのようなことでしょうか。私の場合は、家賃の値上げを請求することはできますか。

借地借家法32条1項は、土地もしくは建物に対する租税その他の負担の増減、土地もしくは建物の価格の上昇もしくは低下その他の経済事情の変動、近傍同種の建物の借賃との比較、を例示しています。
あなたの場合、近隣の借家と比べて不相当に低くなったということであれば、家賃の値上げを請求することができます。ただし、一定の期間家賃の増減をしないという特約がある場合には、家賃の値上げを請求することはできません。

では、家賃の値上げの請求は、どのような方法で行えばよいのでしょうか。

まずは当事者間で話し合いをしてみるのがよいでしょう。いつからいくら値上げしたいのか明確にしておくためには、書面で提示したほうがよいと思われます。

話し合いがまとまらない場合には、どのようにしたらよいのでしょうか。

当事者間で協議が整わないときは、簡易裁判所に賃料増額請求調停を申し立てることになります。いきなり、裁判を提起することはできません(調停前置主義)。調停では、不動産取引や不動産評価に詳しい調停委員が間に入って、話し合いによる解決が図られることになります。