こんにちは、弁護士の橋本です。
今、小中学校や高校では、キャリア教育が盛んに行われています。その関係で「取材」を受けることが時々あります。先日も、高校の生徒さんが事務所に話を聞きに来ましたので、今回は、弁護士を目指す皆さんに向けてお話したいと思います。
私が弁護士を目指したのは20代後半、大学を卒業して会社に勤めていたころで、それから勉強して弁護士になりました。弁護士や裁判官、検察官(法曹三者といいます)になるためには司法試験に合格する必要があります。私が受けた試験と今の試験とでは仕組みが大きく異なっていて、当時の試験は、一次は3科目の択一式(マークシート)、二次が6科目の論文、三次が口述(試験官との面接)で合否を決めていました。今は、大学卒業後、2年から3年間法科大学院(ロースクール)に通って勉強し、法科大学院を卒業した人に司法試験の受験資格が与えられます。今の試験は一次で択一試験、二次で論文試験があります。科目が多くて出題範囲が広く、内容も私が受験した当時とは大きく異なっています。経済的な理由などから法科大学院に通うことが出来ない人のために予備試験という制度があり、予備試験に合格すると法科大学院を卒業しなくても司法試験の受験資格が与えられます。最近は予備試験の人気が高まっていて、多くの人が法科大学院を卒業しないまま予備試験を経て弁護士となっています。司法試験に合格すると、司法研修所で1年間の司法修習があります。埼玉県にある研修所に集合して基礎的な知識や技術を学んだり、裁判所、検察庁、法律事務所に行って実務を学んだりします。司法修習の最後に修了試験を受けて、これに合格すると法曹資格が与えられます。司法修習生は修習中に就職活動をして、弁護士や裁判官、検察官になるほか、最近は、民間企業に就職する人も増えています。
「どのような人が弁護士に向いていますか」という質問をよく受けるのですが、私は、「困っている人を助けたい」「社会を今よりもよいものにしたい」という思いがある人が向いていると思います。
「弁護士を目指すにあたって今取り組むべき事」についてもよく聞かれます。社会で起きている出来事に関心をもつこと、正しい日本語を身につけることが大切であり、そのために、私は新聞を読むことを勧めています。小説を読むことも、様々な人の気持ちやその人の置かれた状況を想像できるようになるために大事だと思います。また、将来文系に進むにしても、国語、英語、地理、歴史だけでなく、数学や自然科学も勉強しておいてほしいと思います。社会で起きている問題は複雑で、簡単に解決できるものばかりではありません。幅広い知識に加え、数学や科学で論理的思考方法を学ぶことで、深い思考力や柔軟な発想力が育まれ、弁護士となった後、事案を適切に解決していく上で助けとなるでしょう。
少し堅い話になりましたが、私は、学生のうちは、体を鍛え、友達や家族、周りの人を大切にして、クラブ活動でもなんでも自分が熱中できることに一生懸命取り組み、楽しい学生生活を送ってほしいと思います。それが、将来弁護士になったときに生きてきます。
弁護士には定年がありません。私は、この先もずっとこの仕事を続けたいと思います。いつか若い皆さんと一緒に仕事が出来る日が来ることを楽しみにしています。