青空カフェcafe

「国宝」見ました

 こんにちは、弁護士の橋本です。

 先月、今話題の映画「国宝」を見ました。

 「凄いものを見た」

 ほかに感想を言葉にするのが難しいほどに衝撃を受けました。

 この映画、見所がたくさんあって、何を語っても、果たしてそれが自分の感想なのか、自分が語りたいことなのか、という気がしますが、それでも少しだけ書いてみたいと思います。

 まず、最初に述べたいのが圧倒的な映像美です。私は歌舞伎を一度も見たことがありませんが、豪華絢爛な歌舞伎の舞台の場面が、何度も、長くしっかりと撮られていて、歌舞伎の魅力を初心者に対してもコンパクトに伝えてくれます。映画を見て少し時間が経っても色鮮やかな舞台の映像が目に焼き付いて離れません。多くの人も思われたでしょうが、私もいつか歌舞伎の舞台を見たいと思わされました。

 吉沢亮さん、横浜流星さんは歌舞伎の経験がなく、一から学んで演技を身につけたといいます。それを知って見るだけに、お二人の歌舞伎独特の仕草や発声など、圧巻の舞台姿に感動するとともに、歌舞伎の世界の奥深さや芸の厳しさが伝わってきます。

 登場人物の波瀾万丈の人生と移りゆく時代背景も見事に描かれていて、衝撃的なオープニングから井口理さんの歌で締めくくるエンドロールまでの3時間、一時も目を離せませんでした。私は10年以上、映画館で映画を見ていませんでしたが、映画っていいな、また見たいな、という気持ちになりました。

 終盤、吉沢亮さん演じる主人公が一人舞台で舞うシーンが幻想的、印象的でした。主人公の人生は、壮絶であり、残酷であり、波瀾万丈に満ちたものであって、夢を追い続けて功成り名を遂げた男の物語、と単純にくくるのが憚られます。15歳の少年だった主人公の半世紀にわたる人生の到達点で、舞い落ちる雪を見上げながら何を思うのか、その目には何が映っているのか。

 そしてそれだけでなく、数奇な人生を歩んだ主人公と同様に、取り巻く人々の人生もまたそれぞれの物語である、人は結局誰もが孤独な存在である、成功とか幸せとかを超えてそれぞれの人が歩む人生を肯定する、そうした何か普遍的なものを伝えている、そんな映画だったように思います。