こんにちは、弁護士の橋本です。
今回は、サッカーのワールドカップについて取り上げたいと思います。
私は、98年のフランス大会から熱心に見るようになりました。今回はテレビ放送が限られていましたが、それでも1日1試合くらい観て、夜はデイリーハイライトを観ていました。午後9時ころ寝て午前2時とか4時に起きて観て終わったら朝7時まで寝て起きて出勤、というような生活をしていたため、体調的にすっきりしない日もありましたが、楽しい1か月間で、決勝戦の後、寂しくて4年後が待ち遠しい気持ちになりました。
サッカーは世界的に人気のスポーツで、チーム戦術が試合を大きく左右します。戦っている選手や監督は我々素人が言い合うより遙かに深いところを考えているに違いないのですが、見ている皆が監督になった気分で、こうすべきだ、これでは駄目だ、など言い合うことがほかの競技に比べて多いように思います。大会後もネット上には様々なコメントが溢れていて、共感したりしなかったりしながら楽しんでいます。世界中の酒場で熱いサッカー談義を交わす、これもサッカーの醍醐味ではないでしょうか。
私も色んな感想を持ちました。多くの人が感じ指摘しているところでしょうが、余韻を楽しみつつ4年後に思いを馳せるべく、大会を通じて感じたことを書いてみたいと思います。
1 レベルアップ
名前を聞いたときには弱小国、格下かと思いましたが(失礼ですね)、実際に戦ってみると多くの国が欧州や南米の強豪国とギリギリの勝負を繰り広げました。
その代表格はなんと言ってもカボベルデ、特にアルゼンチンとの決勝トーナメントは全世界に驚きを与えました。守り一辺倒のカウンター狙いでは決してなく、真っ向勝負を挑み、自陣でプレッシャーを受けても繋いでボール保持から攻撃につなげるその技術と勇気に驚きました。
決勝トーナメントのベルギー対セネガルも凄い試合でした。セネガルが2本のスーパーゴールで終盤まで優勢に試合を進めて勝負ありかと思われましたが、残りわずかな時間でベルギーが底力を見せて一気に逆転して勝ちました。試合中ベルギーの主力2人が烈しい言い争いを始め、その直後に2人でパスを繋いで得点を挙げて喜び合っていたシーンがありました。両チームの能力の高さと勝利への執念を見た思いでした。
2 均質化
前回大会のときに既に強く感じていたことですが、ボール回しがどの国も似通ってきています。一昔前のサッカーは、中盤を省略してロングボールを前線に放り込んで体力勝負、といったスタイルもあり、中盤の繋ぎ方にもその国の個性が表れていました。最近は、どの国も、最終ラインから中盤、サイドでボールを回しながら縦への突破、前線への楔のパスでチャンスを伺うスタイルに変わってきています。ユニホームを見なければどこの国か分からないくらいです。
今回更にその傾向が強まり、ゴールキーパーもよりボール回しに加わるようになったこと、強いチームほど最終ラインから前線に運ぶビルドアップの技術・チーム戦術が高かったことが印象的でした。スペイン対ポルトガル戦がまさにそんな試合でした。
3 コンディショニング
気温32度、湿度60%という会場もありました。週2試合の過密日程の上に移動がきつく、決勝トーナメント進出が32チームとなったことで決勝まで1試合増えました。予選も楽な試合がほとんどなく、コンディションの維持が大変だったと思います。今大会旋風を巻き起こしたノルウェーは、ブラジル相手に強さを見せた次の試合、準々決勝のイングランド戦では後半完全に足が止まり、余力の差で敗れたように思います。
決勝戦、すでに両チーム8試合目、気温も高く心配して見ていましたが、双方気持ちが入った熱戦でした。特に、優勝したスペインは準決勝のフランス戦に続き完勝といっていい内容だったと思います。圧倒的なボール保持で疲労が少ないという部分もあったのかもしれませんが、それにしてもほぼ同じスターティングメンバーが出続けていましたので、最後までクオリティが落ちないプレーを信じられない思いで見ていました。
4 日本代表
欧州各国で活躍する選手の技術の向上が著しく、今回のチームが歴代最強には違いなかったと思います。前回大会の予選リーグでドイツ、スペインを破り、直近の親善試合でブラジル、イングランドを破っており、大会前は、もしかしたら本当に世界一になれるのではないかと私も思っていました。今大会で日本選手が決めたゴールはどれも、日本人がこんな凄いシュートを決められるようになったのかと驚くものばかりでした。オランダ戦の中村選手、チュニジア戦の上田選手、スウェーデン戦の前田選手、そしてブラジル戦の佐野選手等々。
決勝トーナメント1回戦でブラジルと戦い、後半、ブラジルの猛攻に遭い逆転負けを喫してしまいました。このときの戦い方については今も議論が尽きませんが、私は、この試合よりも初戦からの日本の戦い方に敗因があったように感じました。初戦のオランダ戦で2度リードされて追いつき、終了間際の同点ゴールで引き分け、強豪相手の勝ち点1で大いに盛り上がりましたが、序盤からオランダの左サイドのガクポ選手のマークに攻撃の主力であるはずの堂安選手と久保選手が追われていることに驚きました。日本が3バックを採用したためでもありますが、これにより、ほかで数的有利を作られないよう、前線、中盤の選手がずれをカバーしようとして守備に追われていました。このような戦い方で攻撃力を保てるのだろうか、決勝トーナメントまで持つのだろうかと不安に感じていました。チュニジア戦に快勝してますます盛り上がりましたが、スウェーデン戦の後半には特に中盤の選手に疲れが出ていたように思います。最後は蓄積した疲労によりチーム全体で足が止まってしまったように見えました。
決勝トーナメントに進出したチームの大半は4バックで戦っていました。相手のサイドに強力なアタッカーがいても基本はサイドバックの選手が抑える、抑えきれないときには中盤の選手もフォローする、突破されても最後はセンターバックを中心にゴール前で体を張る、という戦い方でないと、決勝トーナメントの厳しい連戦は勝ち抜けないのではないか、今大会で私が一番感じたことでした。
5 スタイル
ポゼッションかカウンターか、というのはよく議論されるところです。前回大会では奪ってカウンター、という戦い方がよく見られました。ボール保持率で下回った方が勝つことも多く、持たせる戦術が主流の感もありました。
ところが今回は、ポゼッションで上回り主導権を握ったチームが勝つことが多くありました。ただ保持してバックスでボールを回すだけでなく、そこからのビルドアップ、崩し、ミドルシュートの技術が大きく向上したことが見てとれました。
今回はスペインの圧倒的なポゼッションサッカーを見せられ、これこそがこれからの目指すべきスタイルのように言われたりしています。しかし、スペインのサッカーは伝統と育成に裏打ちされた高い技術あってのことで、そのまま真似できるものではありません。
前回から今回にかけて全体のレベルアップが進み、戦術も変わってきました。4年後の大会ではどのようなサッカーが繰り広げられるのか、今からとても楽しみです。
