法律コラムcolumn

法律コラム17 「民法改正・時効」

今回の民法改正で、債権の消滅時効制度の改正点について教えてください。

改正前民法では、債権について、権利を行使することができる時から10年の経過により消滅するとされていました。これについて、諸外国と比べて日本の消滅時効期間は長過ぎるとの批判があり、改正民法では、債権者が権利を行使することができることを知った時から5年の経過により消滅するとしました。また、債権者が知らなくても、権利を行使することができる時から10年の経過で消滅することも定めました。
職業別の短期消滅時効制度についても、廃止されることになりました。

交通事故により生命身体が害されたことに基づく損害賠償請求権の時効についても、改正されたそうですが。

改正前民法では、被害者又はその法定代理人が損害及び加害者を知った時から3年、又は不法行為の時から20年の経過により時効消滅するとされていました。改正民法では、被害者又はその法定代理人が損害及び加害者を知った時から5年の経過により消滅すると定め、これまでより時効期間が長くなりました(不法行為の時から20年の経過により消滅する点は変わりません。)。

新たに、協議を行う旨の合意による時効の完成猶予という制度が設けられたと聞きました。

これまでは、当事者間で協議をしていたとしても消滅時効は進行し、時効完成を阻止するためには訴訟提起などの措置をとらなければなりませんでした。
改正民法は、権利についての協議を行う旨の合意が書面でされたとき、一定期間、時効は完成しないこととしました。時効完成を阻止するためだけの法的措置をとらなくてもよいことになり、当事者間での協議による解決がより期待できるようになりました。