法律コラムcolumn

法律コラム8 「失踪宣告」

亡母の兄(伯父)が亡くなりました。相続人は、伯父の弟(叔父)、伯父の妹(叔母)、亡母の代襲相続人である私の3名です。私は、叔父に会ったこともありません。母は、生前、叔父は50年前に県外へ出稼ぎに行ったきり戻ってきていない、と言っていました。このような場合、どのようにして相続の手続を進めるのでしょうか。

まず、戸籍などを取り寄せて、叔父の生死や所在を調査します。調査の結果、ご存命で所在も判明した場合は、叔父、叔母との間で遺産分割協議を行うことになります。すでに叔父が亡くなっており、叔父に子がいる場合は、その子を代襲相続人として遺産分割協議を行うことになります。

調査してみたところ、叔父の戸籍に除籍の記載はありませんでした。生年月日欄には明治30年生まれと記載されています。存命であるとは考えにくいのですが。

生死が7年間明らかでないとして、家庭裁判所に失踪宣告の申立てをすることができます。家庭裁判所で失踪宣告の審判がなされれば、叔父は死亡したものとみなされます。叔父に相続人がいなければ、叔母とあなたの2名で相続の手続を進めることになります。

失踪宣告の申立ては、どのようにするのですか。

叔父の従来の住所地又は居所地を管轄する家庭裁判所に、戸籍謄本や戸籍の附票などを添付して、亡母から生前に聞いた事情などを記載した申立書を提出します。

失踪宣告の申立てをした後は、どのような手続がなされますか。

家庭裁判所が関係機関に照会したり、親族から事情聴取を行います。その後、家庭裁判所が定めた期間内に、生存の届出などがなければ、失踪宣告の審判がなされます。