今回の民法改正で、法定利率が変動制になったと聞きました。
その背景について教えてください。
改正前民法は、例えば金銭の貸し借りなどで利率について合意がなされない場合、一律に年5%の法定利率を定めていました。
低金利が長期間続く経済状況のなか、年5%という法定利率の水準は、現在の市中金利と大きくかけ離れるようになったことから、改正民法は、変動制法定利率を採用しました。また、商行為によって生じた債権についても、民法上の法定利率を使用することとしました。
変動制法定利率の具体的な内容について教えてください。
利息を生ずべき債権の利率について、その利息が生じた最初の時点における法定利率は、年3%と定められました。その後は3年毎に、法務省令に基づき変動されます。
どのような場面で影響が生じますか。
例えば、交通事故で後遺障害が残り、そのために将来の収入が減少する見込みになった場合、将来得られたはずの収入も損害賠償の対象となりますが、その賠償金を早期に一時金として受領する際、一時金について利息が発生するはずとの考え方から中間利息が控除されます。
改正民法は、中間利息について、その損害賠償請求権が生じた時点における法定利率により控除することを明記しました。このため、将来得られたはずの利益についての損害賠償額は、改正前よりも高くなります。