法律コラムcolumn

法律コラム6 「高齢者の財産管理」

在宅の介護サービスを受けていますが、身体が思うように動かず、自分で財産を管理することが難しくなってきました。このような場合でも、法定後見や任意後見の制度を利用することはできますか。

成年後見制度は、認知症などにより本人の判断能力が欠けたり不十分になったときに利用される制度であることから、身体が不自由な方でも判断能力が十分にある場合には利用することはできません。
このような場合には、任意の財産管理を利用することができます。

任意の財産管理とは、どのような内容ですか。

任意の財産管理とは、財産管理に不安のある方が、自分の信頼できる人と民法上の委任契約を締結して、その人に財産管理を依頼することです。
委任契約の内容は委任者が自由に決めることができますが、成年後見を補完する制度の一つであることから、その内容は法定後見や任意後見の事務に準じたものになるのが一般的です。

どのような人に財産管理を依頼するのがよいでしょうか。

財産管理人に資格制限はないことから、自分の信頼できる人であれば誰でも構いません。弁護士や司法書士などの専門家に依頼することもできます。

任意の財産管理契約を締結した後で判断能力が欠けた場合、財産管理契約を継続させてもよいのでしょうか。

財産管理契約は双方の信頼関係に基づいて成り立ちます。法律上は、委任者の判断能力が欠けたとしても直ちに財産管理契約が終了するわけではありませんが、財産管理人が委任者との信頼関係を確認することができなくなった場合には、財産管理契約から法定後見制度へ移行するのが適切です。